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在日海兵隊は沖縄県民をどう見ているのか - 在日海兵隊 OTAC (沖縄文化認識トレーニング) 研修資料が示す「大多数の沖縄県民」像とは

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2016年の元海兵隊員による女性強姦殺人事件のような恐ろしい事件がおこると、

 

たとえば、国防総省の準機関誌『星条旗新聞』(Stars and Stripes) や、第3海兵遠征軍 (IIIMEF) のコメント欄には、退役軍人らの沖縄の痛みに寄り添う人々のコメントも寄せられるなか、反動として、沖縄に対するひどい偏見やヘイトも散見される。

 

こうした英語サイトにおける沖縄についてのネガティヴなコメントを読んでいくと、びっくりするほど同じようなパターンの極論がエコーされていることに気づかされる。

 

沖縄人はこうだ、といったようなステレオタイプから、米軍は日本に尽くすだけで不利益を被っているという強い被害者意識まで。

 

【例①】米軍犯罪は少なく、県民の犯罪率のほうが高いのに、地元紙のせいで多く見せかけられ、ミスリードされ、飲酒制限などの不利益を被っている。

 

⇧ 実際に凶悪犯罪における犯罪率は、基地内犯罪のデータを除いても、なんと県民による犯罪率の2倍以上である。飲酒による重大事故も県民よりも2倍も高く、「少ない」どころの話ではない。

 

【例②】基地反対の声はごく一部の過激な左派活動家によるものであり、多くのサイレント・マジョリティーは米軍に感謝している / 感謝するべきだ。

 

⇧ 実際には圧倒的な米軍基地負担と不平等な日米地位協定による米軍犯罪の不条理を歴史的に経験してきた沖縄県民は、その7割以上が新基地建設に反対している。

 

【例③】地元の反基地の感情は、(基地犯罪や公害、不平等な日米地位協定や住民感情を一切考慮することのない基地運営のせいではなく) 地元の反米メディアのせいである。

 

⇧ このようなコメントを書いている人物にかぎって、米軍はちゃんと地元住民に土地の賃貸料を払っているなどという甚大な誤情報を信じていたりする。

 

このような、米軍内で共有されているある種のステレオタイプ的沖縄認識が、いったいどのように形成されているのか、

 

今から3年前、ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏により開示請求され出てきた資料に、この謎を解く鍵があると思われるので、紹介したい。

  

在日海兵隊は、沖縄に駐留する海兵隊員のオリエンテーションとして、OTAC というものをおこなっているという。

 

OTAC、いわゆる Okinawa Cultural Awareness Training (沖縄文化認識トレーニング) という研修である。

 

Cultural awareness training educates service members

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沖縄県民を見下す海兵隊の新人研修 「世論は感情的」「米兵もてる」

沖縄タイムス+プラス

2016年5月26日 15:20

  • 在沖米海兵隊の新任兵士向けの研修資料を英国人記者が入手した
  • 資料では沖縄蔑視と責任転嫁がなされ、事件再発防止の効果は疑問
  • 記者は「米軍の沖縄を見下す教育が若い兵士の態度を形作っている」

 

 在沖縄米海兵隊が新任兵士を対象に開く研修で、米兵犯罪などに対する沖縄の世論について「論理的というより感情的」「二重基準」「責任転嫁」などと教えていることが分かった。英国人ジャーナリストのジョン・ミッチェル氏が情報公開請求で発表用のスライドを入手した。米軍が事件事故の再発防止策の一つと説明してきた研修の偏った内容が明らかになり、実効性に疑問が高まりそうだ。

 

 スライドは2014年2月のものと、民主党政権時代(2009~12年)とみられる時期のものの二つ。「沖縄文化認識トレーニング」と名付けられている。

 

 「『(本土側の)罪の意識』を沖縄は最大限に利用する」「沖縄の政治は基地問題を『てこ』として使う」などとして、沖縄蔑視をあらわにしている。

 

 事件事故については、「米軍の1人当たりの犯罪率は非常に低い」と教育。「メディアと地方政治は半分ほどの事実と不確かな容疑を語り、負担を強調しようとする」と批判する。

 

 特に沖縄2紙に対しては「内向きで狭い視野を持ち、反軍事のプロパガンダを売り込んでいる」と非難。一方で、「本土の報道機関は全体的に米軍に対してより友好的だ」と評する。

 また、1995年の米兵暴行事件について「その後の日本政府の対応が島中、国中の抗議を引き起こした」と責任の大半が日本側にあるかのように説明する。

 兵士に対しては、異性にもてるようになる「外人パワー」を突然得るとして、我を忘れないよう注意している。

 ミッチェル氏は「米軍が沖縄を見下してもいいと教育し、何も知らない若い兵士の態度を形作っている。『良き隣人』の神話は崩壊した」と批判した。自身のウェブサイトでスライドを公開することにしている。

 

時間があるときに、この資料を全訳して紹介して行ければいいと思うが、

 

今回はとりあえず、

 

在沖海兵隊が、いったいどのように沖縄と沖縄人のことを考えているのか、スライドの21ページをご紹介したいと思う。

 

在日海兵隊の OTAC、いわゆる Okinawa Cultural Awareness Training (沖縄文化認識トレーニング) 資料によると、

 

基地問題に関して大声をあげているのは地元のメディアと一部の「活動家」であり、それは、多くの「声なき大衆」と対立項をなすように描かれている。

 

It is difficult to grasp and understand the political climate of Okinawa due to its uniqueness and complexity. The majoirity of Okinawa's residents remain silent, however, there is a vocal minority of anti-base supporters whose voice is amplified by the local media. Which is in turn, causes a reaction by Tokyo and Washinton. (p. 21)

 

【訳】沖縄固有の特異性と複雑さのせいで沖縄の政治的風土を把握し理解することは困難である。沖縄住民の多数派は沈黙を保っているが、しかしながら反基地支持の声高の少数派がいて、彼らの声は地元メディアによって拡大され、それはまた更に日本政府や米国政府の反応を引き起こしている。

 

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Political Climate (沖縄の政治的風土) と題されたスライドの中で、沖縄は二極化しており、

 

一方でますますうるさく大きくなっているのは Vocal Minority (声高の少数派) であり、その対局に Silent Majority (声なき大衆) があると配置されて描かれる。そのはざまに置かれ、中央で当惑しているように描かれているのは、日本の東京と米国のワシントンである。

 

 

どうやら、在日海兵隊は、沖縄県民の多くが「沈黙の大衆」であり、彼らは沖縄に駐留する米軍基地を受け入れているように描いている。

 

右側の「沖縄のサイレント・マジョリティー」部分を拡大して見てみよう。

 

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これら、米軍機や戦艦や戦車を囲むように配置されている黄色いアイコンは、米軍が言うところの、沖縄サイレントマジョリティー」の米軍に対するリアクションを表現していると思われる。

 

もうすこしそれぞれを拡大し、

一番多いアイコンから並べてみよう。

 

x5  目がドル (お金) でくらんでる派

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x3  米軍基地のことを見ないようにしてる派

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x3  米軍基地のことはどうでもいい派

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x2  米軍基地、オッケー派

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x1  米軍基地バンザイ派

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x1  米軍基地をタブーとして語らない派

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x1  米軍基地のことは「わからない」派

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これが、在沖海兵隊が考える、沖縄の「大衆」像である。

 

みなさんはどう思うか。

 

これは本当に「大多数の沖縄県民」の姿なのか。

 

 

結論から言えば、

 

これら在日海兵隊の沖縄サイレントマジョリティー論は間違いである。

 

先月2月24日の県民投票の結果が示しているように、沖縄のマジョリティーは、県民有権者過半数が投票で彼らの意思を声に出し (voicing) 、その7割以上が米軍基地建設に反対している。

 

ospreyfuanclub.hatenablog.com

 

 

在日海兵隊が思うほど、沖縄県民は、お金に目がくらんでもいないし、基地問題に目をふさいでもいないし、基地問題をどうでもいいとは考えていないということだ。

 

しかし、精緻で鋭い相手国の文化と心情分析を戦略に生かすのは、あの『菊と刀』時代から、米国のお手の物だ。

 

米軍自体が、

お金に目がくらんだ沖縄人がで米軍基地を容認しているなどと絵にするのは、なかなか自虐的で味わい深い。

 

https://www.jonmitchellinjapan.com/uploads/4/0/4/0/4040871/okinawa_culture_awareness_training.pdf